7th Open SESSAME Seminar Report

2005年12月21日

7th Open Sessame Seminar の概要

会場の様子

組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(略称:SESSAME)は、第7回組込みソフトウェア技術者・管理者向けセミナー(7th OpenSESSAME Seminar)を12月1日(木)〜2日(金)の二日間にわたって、東京・日本橋の東実年金会館にて開催しました。

つぎのような悩み持っている技術者のために、SESSAMEは上流工程で「品質を作りこむ」ことを目標として、以下をキーワードにして今回の 7th Open SESSAME Seminar を企画いたしました。

  • 手を尽くしているが品質が向上しない
  • いつも体力勝負で作りこみを行なっている
  • 本やセミナーで学んだ設計手法を現場で実践できない
  • 自分のドメインにあった設計手法が見出せない
  • 周りをうまく巻き込めず、活動が空回りしている

7th Open SESSAME の会場の様子


7th Open Sessame Seminar 参加募集要項
7th Open Sessame Seminarアンケート集計結果

 From Seminar Planner (セミナープランナーより)

國方プランナー■プランナーからのメッセージ 國方 則和 (ティアック)

7th OpenSESSAME Seminarでは、上流工程での品質の作りこみを目指している技術者を対象に「モデリング」「コミュニケーション」「俯瞰・全体思考」そして「さすがといわれる設計」をキーワードとして、2日間のプログラムを開発し、開催しました。

特に講義に続いて実施した演習およびグループワークでは、受講者相互で活発な意見交換が行われており、組込み業界をさらに活性化するための議論がなされたことと思います。

今後も、どんどん外に飛び出して活動の幅を広げていただき、より高品質な製品を「速く、楽に、楽しく」開発できるようになるための道を探って欲しいと思います。
またスタッフ一同、技術者育成の重要性を再認識いたしました。引き続き、よりニーズにマッチした教材の開発やセミナーの開催をしていきたいと思います。


7th Open SESSAME Seminar プログラム 12月01日(木)

プログラム1

中級技術者の心得

アンケート集計結果

二上 貴夫 (東陽テクニカ)

プログラム2

設計モデリング

アンケート集計結果

森 孝夫 (三栄ハイテックス)

プログラム3

リバースエンジニアリング

アンケート集計結果

山田 大介 (リコー)

プログラム4

グループワーク「さすがといわれる設計とは」

アンケート集計結果


7th Open SESSAME Seminar プログラム 12月02日(金)

プログラム5

分析の大切さ

アンケート集計結果

鈴木 圭一
(富士写真フイルム)

プログラム6

モデリング・デモンストレーション

アンケート集計結果

斎藤 賢一 (リコー)

プログラム7

グループワーク「現場での実践にむけて」

アンケート集計結果

三浦 元 (テクノホロン)


 プログラム1 「中級技術者の心得」

二上講師■講師 二上 貴夫 (東陽テクニカ)

■講義のゴール
・中級キャリアのスキル、中級ソフトのエンジニアリングについて学ぶ


■概要
 中級組込みソフトエンジニアの責務、楽しみ、スキル、概念、心得等について解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「指示なく自分で動ける」 「大方の実務をリードできる」 「少しは後輩の育成ができる」 「あれこれ学んで知的ポケットの数を増やそう」 「Keep It Simple Stupid!」


 プログラム2 「設計モデリング」

森講師■講師 森 孝夫 (三栄ハイテックス)

■講義のゴール
・設計モデリング手法の考え方を習得する
・設計モデリングを行う際の課題やポイントを知ることで分析・設計の成果物と実装の乖離を防ぐ勘所を理解する
・設計技法を現場に導入する際のポイントを考察する


■概要
目的を理解して設計モデリングを行う
分離と独立の確保から考えてみる
設計で品質を作り込む意識を持る
現場への導入は現実に即して行う

さすがの学び方
・型を学ぶ
・歴史から学ぶ
・会話から学ぶ
・実践から学ぶ

設計手法の本質を理解し、実践に即した使い方ができるようになろう

■キーワード・キーセンテンス
「設計モデルがないと必要な品質、信頼性が得られない」「設計モデルがないと中長期的なQCDが達成できない」「WhatとHowの切り分け」「設計モデリングで静的構造と振る舞いを明らかにしたい」「さすがの設計は、ソースコードや設計成果物から意図、思想が伝わってくる」「設計の考察は分離から」「分離と独立の確保」「何のためにあるのかWhyを繰り返すと外から見た意味、責務がわかる」「ひとことでモジュールの機能を表せるようにする」「設計で品質を作り込む」「分離、責務分担、依存関係に注目しよう」


 プログラム3 「 リバースエンジニアリング」

山田講師■講師 山田 大介 (リコー)

■講義のゴール
・設計を抽象化する意図がわかる
・良い設計/悪い設計の比較が出来る
・モデリングのツールを使いたくなる
・思考のツールを整理したくなる


概要
定石の例
・モデリングによりシステム全体を俯瞰する
・要求モデルでは「〜したい」という心の状態をとらえる
・分析モデルでは What を考えて How を排除する
・分析することによりシステムの本質を把握する
・設計モデルでは分割統治する
・関数名に目的を持たせる
・インターフェースと実装を分割する
・レビューとテストを効果的かつ効率的に実施する

格言の例
・イベントとエフェクトはユーザーに意味のあることを抽出しよう
・エフェクトの粒度を揃えよう
・非機能要件を別管理しよう
・7±2の粒度に分割しよう
・Why でシステムの本質を探してみよう
・分析モデリングは”いい加減”なレベルでやめよう
・バランスの良いシステム形状を作ろう
・状態遷移表でモレヌケを防止しよう
・原因分析して再発防止に努めよう

■キーワード・キーセンテンス
「モジュールの凝集度」「モジュールの結合度」「機能的、逐次的、通信的に良い凝集にする」「手順的、一時的、非論理的、偶発的では凝集度が低くなる」「ファンイン/ファンアウト」「ファンアウト数は7±2以内が目安」「ファンイン数は多くても問題ない」「状態遷移図」「状態遷移表」「モデリングによりシステム全体を俯瞰する」「要求モデルでは〜したいという心の状態をとらえる」「分析モデルでは Whatを考えて Howを排除する」


 プログラム4 「グループワーク さすがと言われる設計とは」

グループワークの様子■講師 山田 大介 (リコー)

■グループワーク1のメニュー
・ソースコードから構造図をリバースしてみる。
・構造図での設計の善し悪しを検討する。
・グループワーク 45分
・発表

■グループワーク2のメニュー
・設計を劣化させる根本原因を検討する。
・根本原因に対処するために自分が何をすべきなのか?を考えてみる。
・グループワーク 60分
・発表



 プログラム5 「 分析の大切さ」

鈴木講師■講師 鈴木 圭一 (富士写真フイルム)

■講義のゴール
・要求の性質を知る
・要求分析の目的を知る
・要求仕様書の正しい姿を考える


概要
Step1 「要求」って何だろう?
Step2 2つの要求分析
Step3 要求分析に求められるもの
Step4 要求に潜む背景を差繰り出せ!


■キーワード・キーセンテンス
「要求分析によって要求の本質を捉える」「要求に潜む背景を探り出せ!」「〜したいという心の状態から見つけよう」「分析では実現方法は考えない」




 プログラム6 「モデリングデモンストレーション/ペアモデリング グループワーク」

斎藤講師・酒井講師■講師 斎藤 賢一 (リコー)

■講義のゴール
モデリング作業について、ペアモデリングのデモと演習を通じ、以下の気づきを得る
・モデリング作業の効率的方法に関する気づきを得る
・モデリング作業の伝授方法に関する気づきを得る


概要
ペアモデリングのデモンストレーションを見て、実際にペアモデリングを行ってみる。

■キーワード・キーセンテンス
「ペアモデリング」



 プログラム7 「さすがを展開する グループワーク現場での実践に向けて」

三浦講師■講師 三浦 元 (テクノホロン)

■講義のゴール
・さすがをチームや組織に展開する際の基本的な手順と考慮すべき事柄を理解する


概要
・さすがを明確化する
・障害を考える
・障害を乗り越える
・さすがの展開を計画しよう
・さすがの展開を実施しよう

■キーワード・キーセンテンス
「さすがは本本質理解の上にある」「本質が理解できてはじめて、自在の汎化ができる」「現状を具体的に把握する」「障害の乗り越えるために障害の原因を捉えよう」「PDCAサイクル」「さすがは劣化する」「銀の弾丸は存在しない」




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